DVはなおるんですか?
DVで家を出た妻や別居中の妻という人たちからの問い合わせで「夫は反省してるしDVは絶対しないから帰ってくれっていうけれど、DVはなおるんですか?」という問い合わせがしばしばあります。
私が答えるのは、「夫さんは本当に反省してるだろうし、DVはもうしないと本気で考えてるだろうし、嘘ではないと思いますよ、けれど、その言葉に乗って、あなたが帰れば、いずれDVは再発するでしょうねえ」ということ。
世間では、DVが悪いことだとわかってないからDVをする、と考えてるし、だとすれば、悪いこととわかって反省したのだから、DVはもうしないはず、と考えたくなるのも、わからないでもありません。
DVは反省してもなおらない
けれど、DVはそんなに簡単なものではありません。悪いこととわかっていてもやってしまう、それがDVやモラハラでしょう。その現実から「DVは治らない」と言われるのもまたわからないでもありません。
多くの加害者、被害者の支援をしてきた私に言わせれば、これらの考えの前提が間違っています。DVやモラハラはそんなに簡単な原因で起こるわけではないということ。
DVの原因は複雑
暴力的支配を是とする文化、コミュニケーション不全、低い自己肯定感、ゆとりのないくらし、生活スキルのなさ、依存体質、などなど、夫婦がそれぞれ抱える問題があります。
これらの問題にひとつひとつ向き合い、解決していくことで、DV・モラハラは終わらせることができます。夫だけの問題でもないし、妻だけの問題でもありません。
とりあえず距離を保って争いにせず
というわけで、先日問い合わせてこられた方には「夫さんがDVしようが何をしようがコントロールされない力があなたにあれば、再同居はいいことと思うけれど、コントロールされてしまうようなら、DVはいずれ再発するでしょうねえ」「とりあえず、距離は保ちつつ、お互いの問題解決を図りながら距離を近づけていく」「常に安全が担保された仕組みの中で修復を目指すべきでしょうねえ」「ただ離婚するだけでは問題は解決しないので、離婚を勧めるわけではないけれど・・・」と答えさせていただきましたが、その方だけではなく、離婚を望まれてる方や別居されてる方には、このようなお返事をさせていただくことが多いように思います。
結局、離婚するしないは大きなことではなく、信頼関係ができるかできないか、自分の問題にそれぞれが向き合えるかどうか、そのあたりが大切なこと、そのためにいろいろ支援ができるし、とりあえず、カウンセリングやグループワークは、その問題解決には有効だから、と、その方にはご本人にも、相手方の夫さんにもワークやカウンセリングをお勧めしました。
距離を保ちながら、それぞれが自分と向き合いながら、時間をかけてひとつひとつ問題点を改善していくことで、新しい夫婦関係を再構築することが可能です。このことは子供に取っても最善の結果をもたらします。たとえそれが離婚になつたとしても。
司法は戦いの場、修復には向かわないし再同居は危険だし
引き換え、そういった修復的支援なく法的な闘争で傷つけあって離婚しても、問題は終わらないし、相互不信や恨みつらみが残ったままの暮らしになります。これは子供に取って、とても辛い現実になってしまいかねません。
かといって、離婚したら子供がかわいそうということで、夫の反省や謝罪を信じて問題解決しないまま、再同居すれば、また葛藤が高じてDVやモラハラになる可能性はとても高いといえるでしょう。これはこれで子供は更に傷つくし、問題は連鎖してしまいます。
中立的立場での修復的支援の意味
モラハラで妻が家を出たとか、DVで妻がシェルターに入ったとかいうケースでも、時間かけて、関係修復し時間かけて再同居に至るケースも少なくないけれど、それは夫婦がともに私につながってくれている場合が多いようです。
私は片方だけの支援で、相手方には親族や弁護士がついて、相手方が支援者にコントロールされている場合は夫婦間の修復的な動きにはなりにくいのも事実。そんなときは相手方の将来には責任を負う必要もないので、こちらの当事者の回復や豊かな将来のための支援が続くことになります。
反省だけでは無意味
何れにしても、反省するだけでは、ほとんど関係修復、家族再構築にはあまり意味はないってことですね。反省ではなくて、修復的な支援を受けつつ、自分と向き合い、自分を成長させること・・・が必要だけれど、その場につながらないことにはねぇ。
加害女性や被害男性も共に参加するというメンズプログラムの脱暴力グループワーク。こんな支援の場ってどこにもありません。