先日のメンズカウンセリング講座は品川はスクエア荏原にて開催されました。9:30 から20:30まで、11時間のセッションでした。 プログラムは以下の通り。
9:30 講義 メンズカウンセリングとは何か 味沢
11:30 昼休憩
12:30 当事者性の援助について 当事者は語る
14:40 ビデオ視聴 龍谷アミティー
16:40 ロールプレイ
18:40 グループワーク実践
20:40 修了
11時間というとかなりの長時間だけれど、一方的な講義ではなく、常に対話が行われ、参加者一人一人が語りあい、学び合う時間は、刺激的だったり、心地よかったり、面白かったりで、あっという間に過ぎてしまいます。その時間のなんと濃密なことか。
メンズカウンセリングと言うと、男のためのカウンセリングという理解をされやすいけれど、ウイメンズカウンセリングの対局にあるもので、男性論に基づいたカウンセリングという意味です。
ウイメンズカウンセリング、あるいはフェミニストカウンセリングが、女による女のためのカウンセリングであり、男性支配の構造から女を解放することをセラピーの基本としているのに対して、メンズカウンセリングでは、男性支配の構造から男性自身や女性も含め、差別抑圧を受けるすへての人を対象にするセラピーと言えます。ですから、カウンセラーもクライアントも、性別は問いません。ましてや、男と女の関係を対立構造として認識することもありません。性別ではなく、権力が問題の本質と理解しています。
ですから、DVに関してフェミニストは男が加害者で女が被害者との前提で支援を組み立てます。がメンズの立場では、性別ではなく、権力のある者が性別にかかわりなく、弱者を力で支配することを問題とします。
実際、男性被害、あるいは女性加害の存在が最近やっと認知されるようになりましたが、メンズの立場では当然のことです。また、DVは身体的暴力だけでなく、言葉や、経済など、様々な力を用いることもDVと認識されていますが、こうしたパワーコントロールの問題の背景に権力の問題があります。
合法、非合法にかかわらず、権力構造は社会のあらゆるところに存在し、強者は弱者を力で支配します。この権力構造を問題視しないでDVやモラハラの脱暴力支援をしても、ほとんど有効性は上がらないでしょう。某有名な加害者プログラム主催者も「有効性は高くないんよね、」と言いだす始末。
というわけで、メンズカウンセリングでは、いわゆる加害者に対してもいわゆる被害者に対しても、権力に対する理解を深めてもらいます。そう、パワーセンシティブです。
家庭であれ、職場であれ、あらゆるところに存在する権力構造に対して、その構造に依存・加担しないで、自由で対等な関係を是とする価値観やライフスタイルを伝えるのがメンズカウンセリングです。
となると、カウンセリングを含むセラピーにおいて、セラピスト自身も権力構造から自由でなければならないし、クライアントをパワーコントロールすることは許されないということになります。
権威であれ、知識であれ、セラピストがコントロールパワーでクライアントをコントロールすることは、クライアントが他者に対して暴力というパワーでコントロールすることを認めてしまうことになります。ですから、メンズカウンセリングでは、セラピストはクライアントの上に立たない、むしろunderstandにたつことを前提とします。
というわけでメンズカウンセリング講座においても、私は講義するけれど、それは専門知の伝達であり、一人一人の参加者はそれぞれの体験知を語っていただくことで、対等な知識の交換となります。ともに学び合い、育ち合う、それがメンズカウンセリングの基本です。
講座や講義などにおいても、ゼミにおいても、人間関係は上下があり、権力構造があります。そんな場の学びと、メンズカウンセリングの学びとの違い・・参加しないとわかんないだろうなあ・・