先日の猟奇的な殺人事件、容疑者の行動が理解しがたいがゆえに人々の好奇心をそそります。理解不能な状況は人々の不安や怒りを生じさせ、情報に対するニーズは高まり、メディアには美味しいネタになります。
殺人事件で死亡する被害者は全国で年間300〜400人程度ですし、自殺で死亡する人は年間24000人ほどです。今回の事件の被害者数は統計的には大きなものではありません。けれど、その不可解な猟奇性が人々の感情を刺激し報道が過熱します。
報道によれば容疑者は「生きる意味がわからない」と発言しているとか。それに歌舞伎町で風俗嬢のスカウトをしてたとか・・そのあたりの言葉から、私が推測するのは、事件の背後にある社会の闇でしょうか。
私たちの一見豊かな暮らしの裏に潜む貧困や暴力、差別や抑圧について、私たちは見たくないし、蓋しておきたいもの。行政も福祉も警察も、そのあたりに踏み込みません。
貧困は暴力を誘い、無知は被害を呼びます。加害被害にかかわらず、一旦ラベリングされたものはその世界から脱出する手立ては社会にはありません。弱者を食いつぶすことでしか、自分がその世界でその地位を保つことはできず、転落していくものは、さらに過酷な体験に甘んずるしかなくなります。
うまくいけば逮捕拘留されてしばらく命を繋げるか、下手して殺されるか、自ら命を絶つか・・そんな絶望の淵に立つ人たちも少なくないでしょう。そんな世界はマスコミも入りませんし、行政も警察も関わりません。金をめぐって、身体や生命が売り買いされるだけの世界です。
世界的に見れば、売買春や臓器売買のための人身売買があり、金を持つものがその消費者になります。国内では臓器売買は規制もあり犯罪にはなりにくいでしょうが売買春に関しては、曖昧な規制が返ってブラックマーケットを作り、ワーカーの人権が蹂躙されることにつながっていきます。
私が今回の事件の背後にある闇を感じるのは、その入り口に私も関わるからと言えるかもしれません。
死にたい、殺したい、生きる意味がわからない、消えたい、と私に語る人は少なくないですし、実際に自殺未遂している方も何人もおられるし、関わってる方で既遂された方も複数おられます。
そして、そんな方達の抱える心の闇はその方の責任ではなく、社会の構造が作り出す心の闇、ブラックファンタジーです。その暗黒妄想に囚われた当事者の心をその闇から解放し、生きる意味を見出すためのお手伝いが私の仕事。そんな当事者の絶望を利用して、人を殺すことで自身の葛藤からいっときの逃避をした白石容疑者・・・というのは私の勝手な妄想です。
問題は個々の当事者にあるのではなく、利権のために当事者を生み出す差別抑圧の構造が問題でしょう。その当事者をその構造から解放しうる支援が必要だけれどそのためには、その差別抑圧構造を否定しなくちゃ矛盾が起こります。残念ながらフェミニストはその作業に失敗しています。フェミニストが抑圧構造に加担しちゃってるものねぇ。
で、フェミニストと同じ失敗をしないようにメンズカウンセリングは徹底して当事者の立場に立ちたいと思うわけ。そーゆーわけで、今度の日曜、過酷な闇の世界から脱出?した女性から学びを得たいと考えての日本男性会議です。性風俗、薬物犯罪、暴力、コテコテの当事者体験を持つ素敵な女性のお話って・・・支援する側に取ってもいろんな気づきがあるんじやないかな。もちろん女性当事者にとってはなおさら・・生きる意味についてもね。
そうそう、昨夜は久々にリハビリとしてのナイトウォークを6キロほど。
しっかり歩いて・・ああっ早く走りたいー