いろんな人のいろんな悩みを聴かせてもらう私。前立腺癌ステージ4の私にすれば、大抵の悩みは、そんなこと悩まなくても・・といいたくなるほど、些細なことなのに・・本人たちにとっては大問題・・本気で悩んで苦しんでます。自分をとりまく状況や自分の状況などについて、自分の願いや期待と違う現実を受け入れられなくて、なのに相手も状況も変えられなくて、辛い思いをされてます。
もちろん、いきなり、そんなこと悩まなくていいよとも言えません。本人は本気で悩んで苦しんでいるのだから。でも、本人と一緒になって状況を変えようとしても、なかなかうまくいくわけもありません、相手は変えられない・・のだから。私は弁護士でもないし、警察でも福祉でもないから、相手や状況を変えるお手伝いは私の仕事の本質ではありません。
セラピストとしての私の仕事は相手や状況を変えることではなくて、本人がなぜそのこと、状況や相手のことを悩むようになったのか、その原因をセラピーの中で探り出し、本人の体験や記憶の意味を書き換え、状況がどうあれ、悩まなくて済むようなメンタルの強さや、さまざまな自分の可能性に気づいて、悩まず自己決定していける勇気を持ってもらうこと。
多くのクライアントに限らず、大抵の人は、自分で情報をとり、自分にとって何が必要か、自分は何ができるのか、世界は、社会はどんなものか理解し、メディアリテラシーすることで、リスクマネジメントし自分の幸せを獲得していく・・そんなことができずに、与えられた常識、一般論、当たり前に縛られて、小さな家族ファンタジーや恋愛妄想の世界で幸せが得られると信じています。しっかり勉強して、いい学校に入り、いい会社に入り、しっかり働いてしっかり稼いで、結婚し、子供を育て、子供をいい学校に行かせ・・たら幸せになれると、何の根拠も担保もないのにお人好しにも信じています。
だから、何の契約も書かれてない、白紙の契約書にサインして、おめでとうの言葉を受け取ります。家を買うにしても車を買うにしても、ちゃんとした契約書には、責任の範囲とか義務の内容とか、契約の変更の方法とか、事細かに書いているから、安心して変えるのに、結婚という契約に関しては、なんの取り決めもないただの口約束で、契約書にサインしてしまます。ほんと不思議・・恋愛妄想、家族ファンタジーのなせる技かなぁ。
ちなみに私は五十年近く前に連れ合いと一緒に暮らすことになった初日に、口約束ではあるけれど、私はあなたを扶養しないので、完全ダブルポケットにしよう、家事労働、経費の負担は折半しよう、お互いのプライバシーは侵さないようにしようということを提案し、彼女はすんなりとそれを受け入れてくれたので、そのスタイルのまま、半世紀を別れることもなくともに暮らすことができています、いろいろあったけれどね(笑)
で・・私のところに来られる当事者の方達・・その人たちの生きてる世界の小さいこと。家族や、学校や常識に縛られた小さな世界で暮らしています。そんな中で、あの人がどうだこの人がどうだ、自分はどうだ、家族はどうだ、と些細なことに一喜一憂して、期待を裏切られたと勝手に傷ついたり、自分は惨めだと悩んだり・・。
そんな世界がいやなら新しい世界をえらんだらいいし、自分が幸せではないなら幸せになれる人間関係を選べばいいし・・人生は一度きり・・幸せは自分で選ぶもの・・その基本は自分で考え自分で決めるということね・・自己決定ということ。そのためには自分が何をしたいのか、自分は何者か、しつかりとした自己概念、自己信頼感を育てなくてはね。そのお手伝いが私の仕事・・かな。