毎日毎日、虐待で子供が殺された、とか、女性が男に殺された・とか、痛ましい事件が報道されます。それらのひとつひとつは事実なんだけれど・・・木を見て森を見ず、というのか、客観的視点を失って、冷静な判断ができなくなっているというか、報道に流される世論に危うさを感じないではいられません。
果たしてそれらの報道は報道に値するのかどうか、もう少し冷静に見て欲しいと思う私です。確かに痛ましいことだけれど、世界にははるかに痛ましい出来事が溢れてて、それらも私たちの暮らしと無関係ではないのだけれど・・・。
虐待死はこの十年ほどは、年100人以下だけれど、1950年代は今の十倍くらいの件数があったし、人口で補正しても五倍くらいの発生件数がありました。
殺人事件にしても、強姦事件にしても、やはり、同じように減少しています。世界的にみても、日本は犯罪発生率が特に低い国で、安全な国です。日本に比べ、世界ではどのような暴力があり、どのように犯罪が発生しているか、その痛ましい現実にこそ目を向けるべきではないかと。
報道される事実ではなく、報道されない事実にこそ目を向け、問題の本質を理解して欲しいものです。
殺人事件で言えば、女性、子供が被害者の場合は大きく報道されるけれど、男性が被害者の場合は報道される割合が少なくなります。実際には、男性の被害も少なくないのだけれどね。この辺りは男性差別と言っていい偏見があります。
また、自殺を見てみれば、昨年あたりは21000人ほどが亡くなってて、男は女の倍ほど死んでいます。毎日六十人が死んでて男が40人、女が20人の割合。不審死の場合は自殺にカウントされないから、実数はさらに多くなります。これらの死はまったくニュースにはならないし、世間もほとんど問題視しません。
自分で死んでるんだから、勝手に死ねば・・という世論なのかもしれないけれど、自殺に追い込まれるのは、必ずしも本人のせいではないし、本人にとっては不合理なものでしょう。
自殺にせよ、殺人事件にせよ、人の命が断たれることについて、もう少し冷静に議論し、そんな痛ましいことにならないようにするにはどうすればいいのか、を考えるべきでしょう、悪者探しと、バッシングでは何も解決しませんからね。