日本家族再生センター

加害被害の難しくビミョーな関係・・・

昨日はメンズカウンセリング協会の定例「認証研修会」いわゆる世間でいう事例検討会でした。事例はいくつか私の方から提案しましたが、いずれも、加害・被害の事例です。セクハラだったり、DV・モラハラだったり・・・・。私のところが世間のDV支援と違うのは、加害者も被害者も、男性も女性も支援していること。だもので、それぞれのクライアントに傾聴し寄り添い、回復を促します。ということは、いわゆる加害者の話にも、いわゆる被害者の話にも、傾聴し共感するわけです。当然、相手が悪いという聞き方(判断)はできなくなります。

ですから、メンズカウンセリングでは「善悪では語らない」「ジャッジしない」ことが当たり前になってきます。もちろん、暴力は是認することはありませんが、その感情を否定することはありません。感情を抑圧することはむしろ回復の妨げになるからです。

しばしば、というか、大抵DV支援において被害女性に対して「あなたは悪くない」という言葉が使われますが、その言葉の危うさについてDV支援の支援者たちはおそらく気づいていないのではないかと、考える私です。「あなたは悪くない=相手が悪い」の構造に当事者を固定してしまうからです。しかも女性=被害者=弱者=要保護者という概念を被害女性に自己概念として認識させることになりかねません。

この自己概念は、依存的で自立不能な自己を是とし、被害者意識で他者に問題転嫁し、いわゆる加害者に対する攻撃的で批判的な言動を繰り返すことになりかねません。とどのつまり、被害者意識ばかり強く依存的で、自己決定もできず自己責任の意識も低く、自由で対等な人間関係を作ることを難しくし、孤立し、不安と怒りに苛まれることになりかねず、回復を阻害してしまいます。その問題は容易に世代間連鎖し、次世代に引き継がれることになってしまいかねません。

こんな問題を回避するために、当事者を加害者・被害者とラベリングすることを避け、自身の何が加害行為で何が被害体験なのか、じっくりと向き合ってもらいます。また行為や価値観を善悪で判断するこ態度を改め、自分にとって快か不快かで判断するように促します。

このような価値観に基づくワークやカウンセリングなどの支援を続けることで、当事者は自分の加害・被害の判断やら、そこから導かれる情動が、かなり歪んでいて関係修復や回復を難しくしていることにも気づくようになります。やがて、自分は何を欲しているのか、どんな自分でありたいのか、そういった、実存的な問題に向き合うことで、人間関係を新しくし、家族修復に進む人もあれば、壊れた家族を俯瞰し新たな家族意識や家族関係を再構築する人も現れたりします。

これはメンズカウンセリングにおける「援助論」ですが、実祭の事例をいくつか俯瞰することで、その援助論でケースが動いていく様子をリアルに学ぶことが可能となります。このあたり、著書だけで学ぶのとは大きく異なります。昨日もそのあたり、参加者はしっかりと学んでくださったものと思います。ちなみに参加者は十名・・・途中で提供したパワーランチは「シーフードトマトソースのパスタ」でデザートはバターケーキでした。

ついでに私自身のプライベートなその辺りのことも書くとすれば・・・私は今でいうLD児だったもので、社会適応できず、子供の頃からドロップアウトしてたから、無意識に権力に依存して弱者をコントロールする価値観を学習することはせずにすみました。結果15年のアルコール依存やら20年の不安障害になりますが、やがてそれらからも回復し、それらすら今の私を支える大切な宝物のように思える私です。というわけで、女に対して支配的、抑圧的な私にならずにすみましたし、他者に対して力で支配することもせずに済む人生を選ぶことが可能となりました。

とゆーわけで、私が弱い依存的な女より、強くて自立した女が大好きなわけ・・わかったかな。