日本家族再生センター

無くならないよ、いじめ、虐待、DV

先日の新聞報道では学校いじめが32万件で昨年度より10万件増加し、過去最多となったとか。こどもの自殺も増えて244人になってるとか。

もちろん、単純に増えたのか、調査が厳しくなって認知件数が増えたのか、冷静に見なくてはなりません。

なぜいじめがなくならないのか、毎年のようにいじめ事件が報道され、対応についてあれこれ議論されるけれど、決局その場しのぎに過ぎず、根本的な解決には至りません。

その対応というのは、いじめの加害者を特定し、指導を強化、被害者に対する謝罪をもとめたり被害者の安全確保などが議論されるようです。要するに当事者の問題にされているというところ。

私に言わせれば、これでは何にも解決しないのだけれど、それはいじめにせよDVにせよ虐待にせよ、単純に加害者=悪者 被害者=弱者 の視点でいじめ問題を見ている限り、いじめは理解できないし、本質的な対応はできないません。

今から、30年以上前に毎日新聞が出した「いじめの構造」は学校でいじめが起こるのは、学歴至上主義で学歴優先の文教政策と経済格差を助長する政策がその背景にあり、その構造から導かれる人間関係は強者と弱者の権力構造になりどの階層でも強者は弱者をコントロールし、弱者はさらなる弱者をコントロールするいじめの関係になるということ。すなわち、誰でも加害者であり被害者でもあるということでしょう。

教室でも職員室でも、教育委員会でも、議会でも・・同じ構造にあります。これと同じ構造がDVでも虐待でも、加害・被害の発生するところに存在します。

この著書から15年ほど後の2003年に「修復的司法とは何か」が出されます。本来司法は「応報的価値観」に基づいて機能しています。悪者は処罰し善人は保護することで社会秩序を保つのがその仕事でしょう。

けれどいくら処罰しても、加害者は犯罪をやめない、被害者は救われない、としたら社会秩序は保たれていても、何のための秩序かと言わざるをえません。そこで、応報的価値観ではなくて修復的価値観で犯罪に向き合おうというのがこの著書の思想でしょう。

加害者が真に更生し、被害者に対する謝罪や償いを行うことで、被害者の真の安心や安全が確保され癒され事件の発生を予防できます。そうしていくためには、単に事件を善悪で語るのではなく、問題の発生した原因や防止する方法について、当事者や関係者が事件から学ばなくてはなりません。加害者を処罰し排除するだけでは、それは不可能です。このあたりのことをこの著書は丁寧に論証しています。

けれど、その作業を行うためには、対話と相互理解が不可欠ですし、そこに至るには、当事者はもちろん関係者の怒りや悲しみ、を終わらせ、冷静なかつ共感的な心情に至るための修復的支援が不可欠。けれど支援者が怒りや悲しみ、相互不信をあおる応報的価値観に囚われていては修復的支援はできるはずもなく、加害者は偽りの反省で狡猾な加害者になるだろうし、被害者は不安や恐怖の感情から解放されることもなく、癒されることのない人生を送るしかありません。

残念ながら現在の被害者支援も加害者プログラムも修復的支援に基づいているとは言えないし、教育も福祉も然り、DVや虐待、いじめは連鎖していきます。

ほんとに時代は修復的司法、修復的支援が求められますが、司法の中ではむしろ厳罰化が進んでいます。また家族間暴力に関して修復的支援を行なっているのは、メンズカウンセリング周辺だけでしょう。残念なことです。

家族問題に関わる専門家、えらいセンセはたくさんいように。なぜなんでしょね・・・実はいじめ、暴力の背景の権力構造はおいしいのです。その構造に与することでおいしい生活ができるとしたら、みなさんエラい人たちは、その構造を批判することはしませんよね。

おバカな私は、権力構造を否定し続け、その構造の外で暮らしてるから、純粋に修復的視点に立てるのだろうと思います。

そんな修復的支援を実践するメンズカウンセリング・・・昨日はひと・まち交流館で朝からよるまでの長丁場の講座でした。

昨日のメインテーマは「ロールプレイ」一人一人が、カウンセラー役やクライアント役でロールプレイを行なっていただきました。

単に技法の踏襲ではなく、クライアントとカウンセラーがともに体験や思いを語り合い、世界でただ一つの回復の物語を紡いでいく、そんなカウンセリングとはどういうものか、参加者は多少なりとも感じてくれたことと思います。ほんと中身の濃い時間でした。テルさんのファシリによるワークも楽しかったし、一日があっという間に過ぎてしまいました。

台風のせいもあってか参加者が少なかったから、深く濃い時間になったとも言えるけれど、あの意味深い時間をわずかな人たちしか知らないってのももったいない話でした・・とさ。

事務所に帰って、大急ぎでシェルター定食づくり。ちょー手抜きで作ったのはナポリタンとポテトサラダセット。