日本家族再生センター

世界で一つの物語・・・・回復に正解はなし

最近はやたら忙しい。昨年一年間のカウンセリング件数は534件とセンター開設以来最多の件数になったし、今月も51件になりかなりハードな状況です。DVを含む夫婦間の問題が半数以上ですが、おおよそ、どのケースも似たような展開になってこちらに繋がってきます。

結婚して、しばらくすると少しずつお互いの価値観の違いや習慣の違いが気持ちのズレを生じさせ、子供ができると、母親は子育てに手一杯になるだけでなく、不安に苛まれるけれど、その不安や孤独について理解できない夫は、自分に対する配慮が薄くなる妻の言動に、怒りを感じ、相互の不信感が高まります。その葛藤を処理することもできないままエスカレートして、モラハラやDVに発展するのも時間の問題。

そこまでくると女性は相談窓口がどこにもあるので、相談にいきますが、そこで聞かされるのは「それはDVです、治らないから、早く離婚するなり、逃げる準備をしないと大変なことになる」とのアドバイス。で、少しずつ準備して、何かのきっかけを理由に家出して、シェルターに行くというパターン。行政や警察にも話は通しているから、一旦出たら、あとは支援の流れに任せるだけ、相談員やケースワーカー、警察や弁護士の言うとおりにしてれば、離婚までことは進みます。

けれど、そこに至るまでに、多くのものを失うことになるけれど、そのことに気づくのは離婚後の話。夫婦の信頼や親族との関係、子供の保育園や学校、仕事や友人、知人との関わり、などなど多くのものを失います。その代わり、夫の追跡や報復を恐れての逃避生活、慣れない生活環境や職場環境、片親を失った子供の精神的問題、支援してくれる親族も友人もいないところで子育てすることの不安や、困難・・面会交流をとり決めたり実行するストレス・・などなど、離婚後に直面する様々な困難を一人で抱えることになります。

まあ、女性相談からのDV支援の流れだと、おおよそ、こんな流れになります。そこで交わされる夫婦の言い草も、司法でのやり取りも、ほぼ似たようなもの。何れにしても、修復不可能なほどに相互が傷つき、不信感や憎しみにとらわれてしまいます。その一番の被害者は子供ではあるけれど、子供の意思も言葉も親権者の言葉の前にはないものに等しいとするのが司法判断です。

誰が悪いではないけれど、結婚することの意味もわからず、ファンタジーのままに結婚するのだから揉めて当たり前。揉めた時に修復的な支援に繋がれたらいいけれど、そんな支援はどこにもありません。そんな当事者の対立を煽って金にする離婚ビジネス(行政も含めた利権構造)のカモにされるだけ。当事者は相手の問題と思い込まされるけれど、ほんとは相手の問題ではありません。

運良く私に繋がってこられた方は、私の修復的支援で、そんな世間の支援とは違った流れに乗ることも可能になります。私は誰がいいとか悪いとかジャッジすることもないし誰かを批判することもしないように心がけています。代わりに何が問題か、その問題はどこからやってきたかなどについて、語り合います。

多くの場合、問題はパートナーとの価値観のズレ、親世代の干渉などを背景にして、本人の生育の問題、さらに掘り下げていくと本人の自己肯定感に行き着きます。結局は相手の問題、状況の問題は表面的なことと思い至ります。

実際のセラピーの中では、感情や認知の問題と、行動や状況の問題と問題を切り分けていきます。いずれにしても対処すべきは本人自身の問題で相手の問題ではありません。相手を責めたところで何も生まれませんし、状況も感情もよりネガティブになっていくだけ。

で、その方が自分はどうありたいのか、パートナーとどうありたいのか、それをはっきりさせ相手に伝え、相手のことは相手の判断に委ねること・・その結果は自分の責任として引き受けること・・諦めるべきは諦め、手放すべきことは手放す。その孤独を引き受ける勇気を育てるのもまたセラピーです。

世間とは違う自分の判断、誰にも理解されない私の人生を誇りと尊厳を持って生きる、そんな自分に対するたしかな自己信頼や自己肯定感・・。そのためには「私なりの回復」が必要であり、やがて「私とパートナーの対話に基づく納得した関係や相互信頼」ができあがります。

クライアントが二次被害で傷つくことなく支援で回復するには、みんな一緒のワンウェイの支援ではなく、百人いれば百通りの回復を可能にするマルチウエイの支援が必要。でもねえ、行政のひも付だったり、常識やモラル、権威や権力に縛られたセラピストには、無理な話だろね。

その人なりの回復・・・早かったり遅かったり、異常だったり変態だったり・・・なんでもオーケーの私。昨夜も突然発作的にしんどくなった方からの緊急電話・・・しばらくお話ししておまじないの言葉を繰り返すようお伝えして終わりました。「大丈夫、大丈夫・・・なにがあってもだいじょうぶ♪」