日本家族再生センター

妊婦はつらいよ

今日の女ワーク、久々の参加者や遠方からの参加者もいて、こじんまりと、でも濃密な時間となりました。面白いのはワークの後にやってきた人も含め、三人の妊婦が来られたこと。妊娠四ヶ月から五ヶ月くらいのママたちです。彼女たちのお話を聞いてるうちに、私の連れ合いが妊婦だった頃のことを思い出した私でした。


私は連れ合いの妊娠、出産、育児に関して、手伝ったつもりはなくて、家事労働を分担したように、命の再生産についても分担して自分のこととして担ってきた自負はあります。

幸い、私は連れ合いよりも、生物学的な知識、栄養学的な知識もあるし、医療分野においても多少は体験もあるので、妊娠出産、育児についても医者や看護師などのコントロールを受けることもなく、連れ合いとの作業を続けていけたと思います。私は知識を使い連れ合いは母体を使って・・・。

基礎体温のチェックやら排卵の特定やら、助産院探しやら、一緒に分娩を体験したり・・・産後も子供の養育に関しては、私がキッチンを引き受けてたのもあって、かなり積極的に関わってきました。下手に医者の助言に不安にさせられたりしないように、私なりに助言もしたしそんな私の助言を連れ合いも受け入れてくれました。

そんな意味で、今日の参加者だけではなく、多くの妊産婦、子育てママの孤独や不安について、それが本人の問題ではなく、社会の問題であることに私は早くから思い至るのですが、多くの女性はそのことに気づくこともなく、妊産婦は日々追い詰められてしまいます。私がしっかりしなければ・・私がしっかりやれないからダメなんだ・・・これ以上どうしろっていうの・・・どうにもできないからつらいんじゃないか・・・せめて、しんどい時にも妻としての役割を平然と求めてくる夫、母としての責任を言ってくる親など、どこかに消えてくれたらいいのに・・・などなど思っていても口にはできません。

そんな思いを今日はしっかり聴かせていただきました。そして、多分、私は連れ合いと家事育児はもちろん、妊娠出産に関しても妊娠以前から付き合えたので、とてもラッキーだったし、いい体験をさせてもらったこと、連れ合いや子供に感謝です。おかげさまで随分私自身、人として成長できたと思います。赤ちゃんや子供たち、妊産婦に対して随分と共感的に感じられる自分になれたのだもの。

翻って多くの男たちは妊娠、出産、育児、などに関して、他人事としてしか関わる価値観を持たず、多くの女たちはそれらに関して、一人で責任と義務を背負わされてしまうという現実。これでは、家族として本当に体験や思いを分かち合うことはできるはずもないし、夫婦や親子の相互理解も相互信頼もできないよね。

DVや、モラハラ、虐待、などという家族間の問題も、本質的には家族のあり方や社会の家族機能の問題に行き着くんよね。なのに専門家は社会の問題に目を向けず、当事者を病理化することで飯の種にしようとする・・さあっどうしましょ。

ずっと昔、私がとある助産院に関わっていた頃、尊敬する産婆さんから頂いたテレカ。産婆120年記念の記念カードで発行は日本看護歴史学会。絵柄は江戸時代の頃の浮世絵風のもので、庶民のうちの納戸らしきところで出産した産婦と、桶で生まれた赤ちゃんを沐浴(もくよく)させる産婆と、それを手伝い覗き込む夫らしい男と。ラマーズだの立会い分娩だのいう遥か前から、日本では分娩に夫がサポーターとして関わる文化があったということでしょう。

今日届いた封書の中身。八月のヌエック(国立女性教育会館)の男女共同参画フォーラムにワークショップのエントリーをしたけれど、無事採用されました。8月27日(土曜)10:00〜12:00の時間帯です。ワークショップテーマは「DVを終わらせるー有効な脱暴力支援と被害者の回復」です。当事者の語りもたくさん盛り込みたいので、私の支援で加害・被害の回復体験をお持ちの方、ご登壇いただければありがたいです。

そうそう、そのヌエックフォーラムのシンポで「男もつらいよ」と言うイベントがあり、なんと昔私が関わってた団体の関係者がパネリストとして語るそうな。それと、男性学研究者と。男が働かない・いいじゃないか、とか育休父さんとか、男女共同参画のモデル男性として彼らは語るらしいけれど、元電機メーカー管理職とか大学助教だったり・・・やっぱりしっかり働いて社会的地位のある男でないと、表では語れないんよねえ(笑)このあたりが男女共同参画の限界かな。

ヌエックや内閣府には私が昔活動を共にした男たちが関わっているけれど、みんな立派な先生で、地位や稼ぎを目指すことなく当事者にとことん寄り添ったりすることのない人たちなんよねえ。彼らは他人事の政策、当事者性のない支援を考えるからDVも虐待もなくならんよねえ。オレンジもパープルもホワイトも、リボンキャンペーンの嘘臭さにはついていけない私です。とりあえず、当事者が何に傷つき何に悩むか、そしてどうすれば回復できるのか、その辺りしっかりお伝えしていきたいとおもってますぅー。乞うご期待。