このところ、動画でもブログでも、私の日常でもなんか妄想づいてて、妄想に関する考察が進んでます。今度の日曜の東京ワークショツプでも妄想についておしゃべりする予定。
以前ミラーニューロンについて書いたり話したりもしたけれど、人は他者の言動に対して、自分の頭の中でもその言動に関する神経シナプスが同じ様に活動していると言うお話。
要するに、人の痛みに対して自分のことの様に心痛んだり、逆に幸せを共に感じたり・・・そんな共感の能力はこのミラーニューロンのなせる技ということ。このことと、妄想とどういう関係があるんじゃ〜と言うことだけれど・・・妄想というのは、他者の言動だけではなく、様々な状況や、現象についての勝手な思考です。その思考が現実のありようとは無関係に物語として進んでいくから「妄想」です。実は人の思考はほとんど妄想・・・その妄想に合わせて現実を操作しようとするのが意思とか創造とかということでしょう。その結果、飛行機も飛んだし、携帯電話も普及しました。
それは必ずしもそんな建設的なものばかりではなくて、嫉妬妄想とか、不安妄想とか・・相手の言動や様々な状況に刺激されて、思考の中でネガティブな思考(妄想)が膨らんでいきます。その妄想は妄想の物語に都合よく情報を切り取り、妄想物語をさらに発展させていきます。その結果・・例えばコロナパンデミックも起こりました、ワクチンも多くの人が接種しました。
嫉妬妄想に取り憑かれたらストーカーにもなるでしょう、実際、殺人事件になったりもしました。妄想物語がみんなにとってハッピーな物語であればいいけれど、往々にして、本人も周囲の人も辛くなったり不幸になったりすることも少なくありません。だって、いまの世の中、メディアも財界も不安や嫉妬心を煽って、消費につなげますからね。○○を買わないと××になる、△△をを買えば♡♡になる・・そんな情報に溢れてますからねえ。
かように人はいやでも思考する存在なので、妄想から自由になることはまず不可能。厄介なのは、それが妄想であるとは理解できずに、事実だと思い込んでしまうこと。事実ではないから判断も不適切になるし行動も異常になってしまいます。本人はまともだと思い込んでるから、うまくいかないことで、妄想はさらに強化される悪循環に・・・。こんなはずではなかったのに・・・きっと○○が××にちがいない・・と。
こんな状況に陥った当事者がたまたま私のところにつながってくるのだけれど・・・私はお話をお聴きしながら、誰の問題か何が問題か、など質問しながら問題を整理していくことから始めます。さらに本人の問題については、状況の問題か感情の問題か、思考の問題か・・など、問題について整理していきます。状況の問題については、冷静に損得で考えたり、優劣で考えたり、戦略的思考を促すし、感情の問題に対しては、共感しつつも、感情の由来の体験につてその意味づけを変える作業をしていきます。その際に必要なのは当事者の固着した体験に対するネガティブな意味づけをポジティブな意味づけに変えていくための、新たな視点を提供することです。例えば「誰も助けてくれなかった惨めな自分」は「一人で耐え抜いた強い自分」へと、同じ状況に対する意味づけを変えることが可能です。その際に大切なのは、当事者の存在や体験に対する尊厳や敬意をセラピストが感じ、且つ表現しうるかということ。セラピストが当事者に対して、惨めで哀れな癒されるべき存在としてのみ理解していたら、まあ、物語の書き換えは難しいでしょうねえ。
いずれにしても、私との対話の中で、体験の意味づけを変え、人生の物語を書き換えていくことで、当事者はこれまでとは違った自分を発見し、育ち直し、人生のやり直しが始まり、豊かで幸せに満ちた人生を歩み始めるのです。私は当事者の置かれた状況を変えるわけでもないし、当事者に特別な知識や技術を与えるわけでもありません。当事者が誰しも持っている幸せに気づけるような、そのお手伝いをするだけ・・そう言う意味ではタネも仕掛けもあるけれど、それはあまりに何気ないものだから・・マジックの様に感じるのかもしれませんね、当事者自身もね。なんのことはない、私の幸せ妄想物語に当事者のミラーニューロンが反応し、当事者の心の中の幸せ回路が真似して動き始めるってことね。