日本家族再生センター

逃走のヒーロー・・・シネマ「ダンケルク」・・・

戦争に限らず、近代世界は所有と支配を求めて果てしなく争うのが当たり前、万人の万人に対する戦いと説いたのはホッブスかな。その行き着くところが戦争という行為。この所有と支配を求めて争うのは個人でも国家でも同じ・・。

特に、男どうしの争いは激しく、男の存在価値は勝者になること優位性をもつということにあります。スポーツであれ、成績であれ・所得であれ、他者にいかに秀でるかは、男の存在価値に直結しています。

で、強い男が生き残って子孫を作ってきたのだという思想が生まれ、生存競争と当時はやりの進化論が重なって、優生思想が生まれたのかもしれません。

けれど、強い男が強い子供を作ることで人は進化したのか・・・それは全く根拠がない考えで、私はその考えには反対の立場をとります。強い男が子供を作って繁殖する・・・この繁殖戦略はチンパンジーの戦略です。

強いオスが子を作る・・・オスどうしの戦いに巻き込まれて、子供の死亡率が高まり(子殺しの初生)種全体としては繁殖が進みません。

それに比べ、ボノボはメスがセックスを対話の道具として用いて、オス同士の戦いを減らすことで、子供の死亡率を減らすという戦略をとります。

さらに人類は、セックスという報酬と食料のメスへの分配を介して家族化が進み、子供の生存率を高め出生数を増やすことが可能となり、爆発的に繁殖が進みます。その結果、この数十万年で人類は全世界に拡散していきます。

オスが戦って強くなったからではなく、オスが戦いを避けメスや子供のために動くようになったことが、人類進化の原動力でしょう。

けれど、近代合理主義は、強いものが所有し支配するという思想があり、近代以降果てしない戦いの世界が出現します。その思想を連綿と受け継いでいる現代社会・・・弱者、敗者は惨め、不幸・・なのです。

本当にそうなんでしょうか・・そこに一石を投じたのが昨夜みたシネマ「ダンケルク」です。

ドイツ軍にダンケルクまで追い詰められた英仏連合軍は、援軍もなく、40万の兵士の命が絶望の淵にあり救出を虚しく待ち望みます。

映画は、そのダンケルクに関わる兵士、民間人船長、英軍パイロットのそれぞれが織りなす物語です。敗戦と逃走のドラマがヒーローを生む。少なくとも同時代、玉砕を繰り返した日本軍ではありえない物語でしょう。

人間のほんとの強さとは何でしょう、人の尊厳はどこから来るのでしょう。その問いかけは、家族のあり方夫婦のあり方にも関わってくること。家族の困難に巻き込まれた方、家族の問題に苦悩される方、ダンケルクでもみて、少し自分と世界と俯瞰してみるのもいいかな。

 

 

事務所前の玉すだれ、今日は本格的に咲きそろいました。