日本家族再生センター

物語とセラピーと・・最後の銀座

 

昨日は最後の銀座ワークでした。九時からのミニ講座は「ユングとナラティブのセラピーにおける応用」の考え方についてお話ししました。朝から15名ほどの参加者です。カップルでの参加もあれば、離婚された方、新婚の方、別居中の方などなど・・家族問題の当事者たちです。

フロイトと違ってユングは無意識を対立的なものと見ずに意識を補償するものとみなしました。欲望を含めた情動に対して、ユングはフロイトに比べて肯定的なのでしょう。

フロイトにザビーナというクライアントを任されたユングはザビーナの変態セックスの誘惑にはまってしまいます。ところが図らずもこのことからザビーナは回復して、やがてユングと別れます。ユングにとってはセラピーの真実に近づく大きな出来事だったことと思いますが、この物語を映画にしたのが、キーラ・ナイトレイがザビーナを演ずる「危険なメソッド」です。

 

 

このあたり、フロイトとユングの価値観の違いがセラピーの違いにも表れていて、とても面白い映画として、紹介させていただきました。さらに、ユングの考える無意識の中には、アーキタイプという様々な人格的な要素があり、それがその人の情動や思考に影響していると。

日頃意識しない無意識の存在について意識化し、自身の思考や情動の多様性、可能性を獲得するのがセラピーの目的の一つとも言えるでしょう。生育の中で常識や法律、制度などから様々な抑圧を受ける無意識ですが、その無意識を意識化するには、物語を紡ぐという方法もあり、それがナラティブセラピーの基本的な方法論と考えることができます。

ところが物語や眠りでみる夢はしばしば荒唐無稽なもので、論理性や合理性を超越しています。それは無意識とはそういうもので、無意識を意識化するには、常識や合理的判断にとらわれる必要はありません。そのために私が用いるのは妄想系ワークです。

 

 

昨日の妄想ワークはカードを使った「私の物語」です。数人で一枚のカードを見て、それぞれが自分の物語を書きます。その物語を語り合ってシェアします。他人の発想に思いがけない気づきを得たり、自分の囚われや個性に気づいたり、面白いワークです。

 

 

ナラティブでは、物語ることによって自身の体験の意味も書き換えることが可能となりますが、昨日も女と男のワークの後の女のワークでは、「どつぼの日」を語り合いました。自身の体験した最悪な体験を絵にして、みんなに発表するというもの。誰にも語れなかった辛い体験を語り、受け止めてもらい、体験をした本人を肯定してもらうことで、体験からくる痛みや不安が収まります。さらに体験を乗り越え今ある自分に対する尊厳や自信を獲得することにつながります。

そんなワークの後は、個別のセッションでした。結局かなり遅くまでカウンセリングを行いましたが、帰る頃は夜もかなり遅くなりました。

 

 

銀の大蛇に巻きつかれたブルガリのイルミネーション

 

 

夜バスは一路京都に。

 

そうそう、次回からはワークは銀座ではなく、日本橋方面で行います。次回は1月15日

東京都中央区日本橋蛎殻町1-21-6のソーシャルビジネスラボⅠ(レンタルスペース)です。